美術展巡り10 白髪一雄展  ~東京オペラシティアートギャラリー~

日本を代表するアクションペインターの一人、白髪一雄の大規模な回顧展が東京オペラシティアートギャラリーで2020年初頭に開催されました。本展覧会は会期途中で新型コロナウイルスの影響により中止を余儀なくされましたが、会期の初期に訪れたことから昨今少なくなった戦後まもない時期に活躍した前衛美術家の展覧会を体験することができました。

白髪一雄は1924年兵庫県生まれの抽象画家で、美術学校卒業後に日本画から油絵に転向しました。ポロックなどニューヨーク発のアクションペインティングの影響を受け、1954年に天井からつるしたロープにぶら下がりながら 床に置いたキャンバスに足で描く ‘フットペインティング’ という手法を編み出しました。

うねるような激しい動きを伴った重厚なマチエール。ほとばしるようなエネルギーをキャンバスにぶつけた作品は どれも力強く、独特な雰囲気を発していました。代名詞のフットペインティングは70歳を過ぎるまで貫いていたとのことです。

天異星赤髪鬼,1959 兵庫県立美術館蔵
地暴星喪門神,1961 兵庫県立美術館蔵

本展ではフットペインティングの他に ‘貫流(1973)’ のように長いヘラを用いて描いた作品も紹介されていました。

色絵,1966 兵庫県立美術館蔵
貫流,1973 東京オペラシティアートギャラリー蔵
游墨 壱,1989 東京オペラシティアートギャラリー蔵
うすさま,1999 個人蔵
酔獅子,1999 個人蔵

今回、1950~60年代に制作された作品を前にしましたが、まるで現在に描かれたかのような錯覚を起こすほど、筆触の生々しさを感じました。 彼の作品は抽象表現主義的な作風ですが、後のパフォーマンス・アートの先駆的な役割も果たしています。フットペインティングで作品を制作している当時のビデオ映像も紹介されており、まさしく戦後日本の現代美術を牽引してきた希有な作家だと感じました。

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