詩的で叙情的抽象。そんな形容が相応しい1905年北海道生まれの抽象画家 難波田龍起
戦後1960年代、国内の美術界でアンフォルメル旋風が吹き荒れる中、第一線で活躍されました。欧米の力強いアクションペインティング作品とは一線を画し、日本的と言うべき詩情あふれる独特の抽象が特徴です。




龍起氏の次男 難波田史男は1941年生まれ。文学や音楽に傾倒しながらも画家を志しました。瀬戸内海でのフェリーからの転落という不慮の事故により32歳で夭折しましたが、透明感あふれる多くの水彩画やドローイングを世に残しました。




龍起氏と史男氏は洋画と水彩画の違いはありますが、いずれの作品とも深い内面性と高い精神性を宿し、静かなエネルギーに満ちているところが共通している点と感じます。
龍起氏は92歳で亡くなるまで精力的に作品を制作しました。彼の大規模な展覧会は、1987年に東京国立近代美術館で ‘今日の作家 難波田龍起展’ として開催されました。また、2005年にも東京オペラシティアートギャラリーで展覧会が開かれました。その後も、東京オペラシティーでは‘寺田コレクション’を中心とした難波田親子の回顧展が定期的に開催されています。
私は学生時代に過ごした小田急線 経堂駅近くの閑静な住宅街にある難波田家の前を幾度か通ることがあり、近くに憧れの画家がいることを嬉しく思っていました。
当時は上述の美術館での展覧会の他に、銀座(正確には日本橋)の‘東邦画廊’にお邪魔し、難波田親子の作品を鑑賞させていただきました。龍起氏が 81歳時(1986年)に制作された新作でした。
今回は、両氏と馴染みの深かった東邦画廊で紹介された作品を挙げたいと思います。
