美術展巡り57 アンチ・アクション展  ~東京国立近代美術館~

竹橋の東京国立近代美術館で2月上旬まで ‘アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦’ が開催されています。

本展は戦後1950~1960年代の前衛美術の隆盛期に活動してきた女性作家たちを取り上げた希有な展覧会です。

この時代は、アメリカ抽象絵画の影響を受け、国内でも多くの(男性)作家の抽象作品が紹介されました。

女性作家のみに焦点を当てた当企画は、戦後活動してきた彼女らの存在を改めて振り返る機会であり、当時これほど多くの前衛女性作家がいたことに驚かされました。

榎本和子〈停止からの出発〉,1952 東京都現代美術館蔵
榎本和子〈断面(1)〉,1951 板橋区立美術館蔵
榎本和子〈記憶の時〉,1951 横浜美術館蔵
榎本和子〈構内饗恩〉,1953 小林秀行氏蔵
芥川(間所)紗織〈スーツを着た男B〉,1961-62
芥川(間所)紗織〈裸婦〉,1961-62
芥川(間所)紗織〈女,顔Ⅰ〉,1954 豊橋市美術博物館蔵
芥川(間所)紗織〈女,顔Ⅱ〉,1954 豊橋市美術博物館蔵

タイトルの ‘アンチ・アクション’ は、アンフォルメルからアクションペインティングへと美術の潮流が変化する中、激しく力強い男性的なアクションペインティングとは異なる独自の抽象表現へと向かった女性作家たちの意志を表したものです。

宮脇愛子〈作品〉,1962
宮脇愛子〈作品〉,1967
山﨑つる子〈作品〉,1961 兵庫県立美術館蔵
山﨑つる子〈作品〉,1962 兵庫県立美術館蔵
山﨑つる子〈作品〉,1964 芦屋市立美術博物館蔵
赤穴桂子〈黒の中の四角〉,1961 個人蔵
赤穴桂子〈発生Ⅰ〉,1961 個人蔵
赤穴桂子〈不詳〉,1964頃 個人蔵

女性の前衛作家としては、当時から今なお 現代美術の第一線で活動し続けている草間彌生が代表格ですが、彼女は単身アメリカに渡り ‘ハプニング(現在のパフォーマンス)’ などニューヨークのアートシーンに爪痕を残す活躍をしています。

本展では、草間彌生をはじめ、榎本和子、芥川(間所)紗織、宮脇愛子、山﨑つる子、赤穴桂子、江見絹子、多田美波、田中多鶴子、田中敦子、田部光子、白髪冨士子、福島秀子、毛利眞美らの作品が紹介されました。

多田美波〈周波数37303030MC〉,1963 東京国立近代美術館蔵(右)
多田美波〈炭鉱〉,1957 東京国立近代美術館蔵
多田美波〈変電所〉,1954 東京国立近代美術館蔵(左), 〈変電所〉,1956 韮崎大村美術館蔵(右)
田中多鶴子〈無〉,1961頃 奈良県立美術館蔵
田中多鶴子〈無Ⅰ〉,1960 東京国立近代美術館蔵
田中敦子〈金のWork A〉,1962 千葉市美術館蔵
田中敦子〈作品〉,1959 兵庫県立美術館蔵
田中敦子〈地獄門〉,1965-69国立国際美術館蔵
田部光子〈作品〉,1962 福岡市美術館蔵
田部光子〈繁殖する(2)〉,1955-88 福岡市美術館蔵
田部光子〈不詳〉,1967-68頃 福岡市美術館蔵

昨今の現代アートと比較すると古典的とも感じられる抽象表現的な作品が多数会場に並びましたが、いずれも当時の女性作家たちの ‘挑戦と模索’ が強く感じられるものでした。

白髪冨士子〈作品No.1〉,1961 高松市美術館蔵
白髪冨士子〈白い板〉,1955, 1985 兵庫県立美術館蔵
福島秀子〈作品5〉,1959 千葉市美術館蔵
福島秀子〈作品109〉,1959 高松市美術館蔵
福島秀子〈人〉,1952 東京都現代美術館蔵
福島秀子〈不詳〉,1953 東京都現代美術館蔵

個人的には、初見であった毛利眞美による初期のキュビズム的な作品やその後のアンフォルメル的な人物像が印象深く、後者の作品からは彼女を母に持つ(堂本尚郎を父に持つ)堂本右美氏の抽象画が思い浮かび、‘どこか同じものを感じる’ との驚きをもちました。

毛利眞美〈無題〉,1950-55頃 東京国立近代美術館蔵
毛利眞美〈無題〉,1950年代 石橋財団アーティゾン美術館蔵
毛利眞美〈無題〉,1957 石橋財団アーティゾン美術館蔵
毛利眞美〈裸婦(B)〉,1957頃 東京国立近代美術館蔵
毛利眞美〈無題〉,1960年代 個人蔵
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