絵画を75歳から描き始めた熊本市在住、1945年生まれの女性作家 ‘田口Boss’
2016年の熊本地震の被災を受け、それまで経営してきた木製玩具店を勇退し、これを契機に2019年から絵を描き始めました。2025年まで6年間、ペンや色鉛筆を用いて400点ほどの作品を生み出しています。
彼女の絵画は抽象画。クレーやカンディンスキーのように色彩豊かでありながら、不思議な生きものたちが画面に現れる有機的で創造性に満ちた平面絵画が特徴です。







私が彼女の作品に出会ったのは、「美術手帖」の連載 ‘アウトサイドの隣人たち’ で紹介された幾点かの初期作品。その自由で生き生きとした表現に大変驚かされました。今年10月に東京神田の「タナベ画廊」で初個展が開催され、初めて生の作品の鑑賞がかなうとともに作家さんとお会いすることもできました。












本人曰く、下絵は殆どなく何も考えず手の赴くまま直接描いているとのこと。思考や目的(コンセプト)にとらわれず、身体(魂や直感)に委ねたダイレクトな表現は、技巧をこえ絵画そのものの魅力を鑑賞者に与えてくれます。
この夏アーティゾン美術館で開催された ‘アボリジナルアート展’ の女性作家たちと同様に、‘意図のないアート’ が真に人の心に響くものだと思います。









「タナベ画廊」の個展では田口Boss氏とともに、やはり数年前に絵を描き始めた夫の田口ジジ氏の抽象作品も展示されました。静かな空気感に包まれた純粋抽象的な作品でした。
