美術展巡り45 時代のプリズム展  ~国立新美術館~

9月から六本木の国立新美術館で ‘時代のプリズム Prism of the Real 日本で生まれた美術表現1989-2010展’ が開催されています。

本展は、平成時代が始まる1989年(平成元年)から2010年(平成22年)までの約20年間に国内外で活躍した50を越える作家らの作品を紹介しています。

そのため、最新の現代美術の動向を紹介するものではありませんが、令和時代に入った現在に至る少し手前の現代美術を振り返る企画です。

会場へ入り、クリストやヨーゼフ・ボイスなど、当時を象徴する作家を時代とともに追っていくと、その多くが どこかの美術館で出会ったことのある作品たちでした。

クリスト〈アンブレラ,日本とアメリカ合衆国のためのジョイント・プロジェクト〉,1987
クリスト〈アンブレラ,日本とアメリカ合衆国のためのジョイント・プロジェクト〉,1988
ヨーゼフ・ボイス パフォーマンス「ヨーゼフ・ボイス展」,1984 西武美術館
ナムジュン・パイク,ヨーゼフ・ボイス〈2台のピアノのためのパフォーマンス〉,1984 草月ホール
ダニエル・ビュラン他,1982(左), ローリー・アンダーソン,1984(中央) ロバート・ラウシェンバーグ,1986(右)
森村泰昌〈肖像(双子)〉,1989

まだ 森美術館、東京都現代美術館、オペラシティアートギャラリーなどがオープンしてなかった時代に、現代美術の先端を紹介してきた西武美術館(セゾン美術館)、原美術館、草月美術館、東京都美術館などで目にした作家や作品が多数展示されていました。

最近では宇宙服を着た猫 ‘SHIP’S CAT’が人気の ヤノベケンジ氏 の ‘コンタミネイティッド・アトムスーツ,1997’ や ‘アトムスーツ・プロジェクト、タンク・チェルノブイリ,1997’ など、当時のシュールでリアルな作品に久しぶりに再会し、とても印象に残りました。

ヤノベケンジ〈コンタミネイティッド・アトムスーツ〉,1997
ヤノベケンジ〈アトムスーツ・プロジェクト,タンク・チェルノブイリ〉,1997

会場半ばには、好きな作家の一人 森万里子 氏のビデオ作品があり、東京都現代美術館で2002年に催された ‘森万里子 ピュアランド展’ が懐かしく思い出されました。彼女の展覧会は来年2026年に森美術館で20年ぶりに計画されており、今から楽しみにしています。

森万里子〈巫女の祈り〉,1996
森万里子〈巫女の祈り〉,1996

展示されたすべての作家作品を紹介することはできませんが、幾点か作品を挙げさせていただきます。

宮島達男〈Slash〉,1990
椿昇〈エステティック・ポリューション〉,1990
中原浩大〈レゴ〉,1990-91
大竹伸朗〈網膜(ワイヤー・ホライズン・タンジェ〉,1990-93
川俣正〈トロント・プロジェクト1989,コロニアル・タヴァーン・パーク〉,1991
川俣正〈トロント・プロジェクト1989,コロニアル・タヴァーン・パーク〉,1991
柳幸典〈ザ ワールド フラッグ アント ファーム 1991-アジア〉,1991
中村政人〈トコヤマーク トキとコブキ〉,1992
曽根裕〈19番目の彼女の足〉,1993
会田誠〈美しい旗(戦争画RETURNS)〉,1995
大岩オスカール〈古代美術館〉,1995
ナウィン・ラワンチャイクン〈博多ドライブ・イン〉,1998
ナウィン・ラワンチャイクン〈博多ドライブ・イン〉,1998
西山美なコ〈ザ・ピんくはうす〉,1991,2006
ピエール・ユイグ〈100万の王国〉,2001
フランソワ・キュルレ〈証人 スクリーン〉,2002
高嶺格〈God Bless America〉,2002
小沢剛〈ベジタブル・ウェポン-部隊鍋,ソウル 〉,2001(左),〈〃さんまのつみれ鍋,東京〉,2001(右)
小沢剛〈ベジタブル・ウェポン-リゾット・アラ・トレヴィザーナ,ベルガモ イタリア〉,2006(左),〈〃ナン・ブリ,チェンマイ タイ〉,2004(右)
下道基行〈toriiより〉,2006-12
フィオナ・タン〈人々の声 東京〉,2007
米田知子〈JapaneseHouseより〉,2010
米田知子〈JapaneseHouseより〉,2010
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