この夏、上野の東京都美術館で ‘デ・キリコ展’ が開催されています。会期はGWから8月末までの長期間です。キリコ展は2014年に新橋の汐留美術館で開催されて以来10年ぶりとなります。

キリコに対して抱くイメージは、時代も様式も捉えにくいというのが率直な感想です。どの時代の画家だったのか。古典絵画を描く画家? ダリやマグリットに類するシュールリアリスト? それともピカソなどと同時代の具象・抽象画家?
キリコは1888年生まれ、1978年の90歳で亡くなるまで生涯画家として活躍しました。1881年生まれのピカソや1904年生まれのダリ、1898生まれのマグリットと同時代の画家です。
彼の作品は ‘形而上絵画’ と呼ばれています。何やら難しそうな呼び名ですが、「幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画」という意味だそうです。実際の作品は、初期から晩年にかけてやはり形容することが難しく、しかし 鑑賞者を不思議世界へ導き魅了します。
私がキリコ作品で好きなのは、‘大きな塔(1915)’やバラ色の塔のあるイタリア広場(1934頃)’など、深い陰影を用いて描かれた塔や広場で、人の気配をあえて排除したかのような無機的な感じの作品です。


本展では、その他 ‘予言者(1914-15)’ ‘形而上的なミューズたち(1918)’ ‘南の歌(1930頃)’ など、顔のないマヌカンをはじめ、脈絡のない静物やその配置・構成など。これが形而上絵画なのかと思いながら、やはり不思議な画家(というより思想家)という印象を残しながら上野駅へと向かいました。











