1967年神戸市生まれの現代美術作家で舞台演出家 やなぎみわ
彼女は美術大学で染織を専攻後、1990~2000年代に写真を用いた現代美術作品を発表。さらに2010年代以降 演劇プロジェクトを開始し、現在に至るまで舞台演出家として活躍しています。
私の知っている ‘やなぎ作品’ は初期の写真作品に限定されますので、今回はその部分を紹介させていただきます。
1993年に始まった ‘エレベーターガール’ シリーズは、制服を着たエレベーターガールが都市空間の中に配置され、景観と融合している合成感のある写真作品です。明るく華やかな画面の中に無機質的な不安定さや空虚さなどが感じられ、今日の都会や現代人を象徴しているかのようです。
The White Casket, 1994
Aquajenne in Paradise Ⅱ,1995
Looking for the next story I,1996
A Transient World 2F, 1997
Elevator Girl House 1F, 1997
Elevator Girl House 1F, 1997
Elevator Girl House B3, 1997
Elevator Girl House 3F, 1998
Elevator Girl House B4, 1998
2000年に始まった ‘My Grandmothes’ シリーズは、若い女性モデルたちに50年後の自分を想像してもらい、それを具現化し写真作品にしたものです。
YUKA,My Grandmothers Series,2000
MIE,my grandmothers series,2000
SACHIKO,my grandmothers series,2000
MIKA,my grandmothers series,2001
AYUMI,my grandmothers series,2001
GEISHA AKIYO,MAI,HITOMI,NORIKO,my grandmothers series,2002
MINEKO,my grandmothers series,2002
SHIZUKA,my grandmothers series,2004
TSUGUMI,my grandmothers series,2007
MITSUE,my grandmothers series,2009
2004年には醜く怖い本来のグリム童話を題材とした ‘Fairytale’ シリーズを発表しています。
白雪, fairytale series,2004
グレーテル, fairytale series,2004
赤ずきん, fairytale series,2004
眠り姫, fairytale series,2004
エレンディラ, fairytale series,2004
ラプンツェル, fairytale series,2004
シンデレラ, fairytale series,2005
マッチ売りの少女, fairytale series,2005
泥の面, fairytale series,2005
野の白鳥, fairytale series,2005
トルーデおばさん, fairytale series,2005
兄と妹, fairytale series,2005
白い鳩, fairytale series,2005
エレンディラⅡ, fairytale series,2006
ひとつ屋, fairytale series,2006
無題Ⅰ, fairytale series,2004
無題Ⅱ, fairytale series,2004
無題Ⅲ, fairytale series,2005
無題Ⅳ, fairytale series,2005
無題0-A, fairytale series,2006
無題0-B, fairytale series,2006
両作品からは ‘空想、好奇心、希望、歓喜、幸福、現実、不安、苦悩、憂愁、悲嘆、恐怖、醜悪、孤独、空虚…’ など人間が内に秘める様々な一面を感じ取れ、鑑賞側の私たちに宿る本性を露わにされるような気がします。
やなぎ氏は、人間の誰もが無意識の中に持っている本質を、写真を通じて美術作品に昇華させているように感じます。
The Three Fates, the Moira series,2008
The Three Fates, the Moira series,2008
Windswept Women Ⅰ,2009
Windswept Women Ⅱ,2009
Windswept Women Ⅲ,2009
Windswept Women Ⅳ,2009
Windswept Women Ⅴ,2009
2009年に東京都写真美術館で開催された「マイ・グランドマザーズ展」は、特に印象深く2026年になった現在でも忘れがたい展覧会の一つです。その後 彼女は若い頃から志向していた舞台演出など演劇の世界に向かい活動されています。それを知らず、長い間写真の新作展を待っていたのは恥ずかしいところです。