美術展巡り64 アンドリュー・ワイエス展  ~東京都美術館~

4月下旬のGWから、上野の東京都美術館で ‘アンドリュー・ワイエス展’ が開催されています。

ワイエスは、1917年アメリカ東部のペンシルバニア州生まれ。91歳で亡くなるまで、生涯の殆どを郊外の自宅と別荘で暮らし、田舎の風景や人物を描いてきました。

アンドリュー・ワイエス

本展は、1990年に池袋のセゾン美術館で行われた‘アンドリュー・ワイエス展 -ベルガ-’ 以来、36年ぶりの大規模な展覧会となります。当時は、ワイエスが1970以降にモデルとして描いてきたベルガを中心に作品が展示されました。

アンドリュー・ワイエス展,2026 東京都美術館
アトリエ

今回の展覧会では、1940年から暮らしてきた別荘の近くに住むオルソン家の人々や、建物、風景など、日常を描いた作品が紹介されました。

彼の作風はアメリカン・リアリズムと呼ばれ、一見精密な写実画ですが、モノトーン的とも思われるブラウン色を基調とした余韻漂う画面からは、深い精神性が感じ取れます。

冬の野,1942 ホイットニー美術館,ニューヨーク
クリスマスの朝,1944 マイロン・クニン・コレクション,ミネアポリス
自画像,1945 ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン,ニューヨーク
クリスティーナ・オルソン,1947 マイロン・クニン・コレクション,ミネアポリス

作品のイメージは、‘光と影’ ‘風’ ‘静寂’ といったものであり、自然、人、建物が各々有機的に浮かび上がってくるかのようです。中でも ‘クリスティーナ・オルソン(1947)’ は特に印象深い作品でした。

オルソン家の納屋のツバメ,1953 丸沼芸術の森
オルソン家の表戸,1954 丸沼芸術の森
ゼラニウム,1960 ファーンズワース美術館,ロックランド
洗濯物,1961 カマー美術館,ジャクソンビル
オルソンの家,1966 丸沼芸術の森
オルソンの家,1969 丸沼芸術の森
オルソン家の終焉,1969 クリーブランド美術館
薄氷,1969 株式会社三井住友銀行
浮氷,1969 個人蔵
ケネットの集会所,1980 メナード美術館

本展では、撮影可能なエリアが主に国内の収蔵品コーナーに限られていました。前回1990年の展覧会とは大分趣が異なりましたが、ワイエス展はもう開催されることはないと思っていたので、久し振りに奥深く精神性豊かな作品を鑑賞することができ、嬉しく思いました。

灯台,1983 ユニマットグループ
たる木,1985 ユニマットグループ
ハイ・スツール,1985 医療法人社団 景翠会,1985
ヒトデ,1986 フィルブルック美術館,タルサ
ぼろ袋,1986 ユニマットグループ
花びら,1991 ボストン美術館
美しき休息,1991 ユニマットグループ
納屋の猫たち,1993 フィルブルック美術館,タルサ

最後に、ニューヨーク近代美術館(MOMA)で恒久展示されている代表作 ‘クリスティーナの世界(1948)’、息子ジェイミーを描いた ‘遥か彼方に(1952)’、セゾン美術館で開催された際に展示されたベルガをモデルにした ‘編んだ髪(1979)’ を併せて紹介します。

クリスティーナの世界,1948 ニューヨーク近代美術館蔵
遥か彼方に,1952 個人蔵
編んだ髪 (ベルガ連作),1979 個人蔵

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