作家紹介38 ピピロッティ・リスト  ~不思議世界を写し出す女流ビデオ・アーティスト~

1962年スイス生まれの女性ビデオ・アーティスト ピピロッティ・リスト

彼女の作品は一見 楽しそうで無邪気。と思いきや挑発的で破壊的でもあります。美しい植物や花々が大画面に映し出されたかと思えば、人物の目や顔、手足などをクローズアップさせた生々しい映像がいきなり現れたりもします。

I’m Not the Girl Who Misses Much, 1986
I’m Not the Girl Who Misses Much, 1986
Pipilotti’s Mistakes,1988

中でも1990年代の初期作品は、女性の感性を前面に出した挑戦的で刺激的、かつユーモラスな作品が多く、2000年以降の色鮮やかな映像を大画面に写し癒しの仮想空間を創出した作品と比べると、より直接的で好みです。

Pimple Porno,1992
Sip My Ocean,1996

特に代表作の、若い女性が笑顔で歩きながら車の窓ガラスを割っていく ‘Ever is Over All(1997)’ は衝撃的でありながら、どこか可愛げで不思議な魅力に満ちています。

Ever is Over All,1997
Ever is Over All,1997
Ever is Over All,1997
Ever is Over All,1997
Ever is Over All,1997
Ever is Over All,1997

その他、気がつかないほど小さな壁の隙間に ‘泳ぐ女性’ が映し出される ‘Selfless In The Bath of Laval(1994)’も可笑しく惹きつけられる作品です。

Selfless In The Bath of Laval,1994
Selfless In The Bath of Laval,1994
Selfless In The Bath of Laval,1994

彼女の国内初の展覧会は2007年に原美術館(2021年閉館)で ‘ピピロッティ・リスト KaraKara’ として開催されました。各フロアや廊下の壁面など初期作品を中心に構成され、会場を出るときには 忘れられない作家の一人となりました。

Open My Glade,2000
Homo Sapiens Sapiens,2005
Homo Sapiens Sapiens,2005
Homo Sapiens Sapiens,2005
Homo Sapiens Sapiens,2005
Homo Sapiens Sapiens,2005
Lungenflugel,2009
Lungenflugel,2009
Lungenflugel,2009
Mercy Danube Mercy,2013-15
Mercy Garden,2014
Mercy Garden Retour Retour (from the Mercy Work Family),2014
Gigantic Pear Log,2014
Neighbors Without Fences,2021

美術展巡り28 ‘フェニミズムと映像表現’ でも感じましたが、昨今のクリアな大画面映像より画面は荒いものの簡素で実直なフィルム映像が、よりダイレクトに作者の思い(匂い)を感じられるような気がします。

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