作家紹介31 池田満寿夫  ~自由で多才な版画家~

1934年満州生まれ、長野県育ちの版画家で画家、陶芸家で小説家の池田満寿夫

彼が1997年に63歳で急逝してから28年が経ちますが、忘れずに振り返っておきたい現代美術家です。

池田満寿夫は画家を目指して上京しましたが 東京芸大に3度落ち、その後 独自の銅版画作品で世に出ました。小さな銅版にドライポイントの手法で描かれた深く鋭い線描が印象的です。また日本で初めて銅版画に色彩を用いました。

女・動物たち, 1960
動物の婚礼,1962
庭を横切る昆虫, 1962
メタフィジックな風景, 1962
水曜日の犬の散歩, 1962
タエコの朝食, 1963
戸口へ急ぐ貴婦人たち, 1963

これら1960年代に制作された 型にはまらず自由で直感的なドライポイント作品は、私が好きなシリーズです。

彼の版画は多彩で、コラージュの手法を用いた多くのリトグラフ作品はデザイン的でもあります。その他、素描や陶芸作品も多数残しています。

夏1, 1964
海のスカーフ, 1965
ロマンティックな風景, 1965
虹を飲む女, 1965
姉妹たち, 1965
私の詩人・私の猫, 1965
聖なる手1, 1965
バラはバラ, 1966
愛の瞬間, 1966
五月,1966
夏の夢,1966

小説も芥川賞作品 ‘エーゲ海に捧ぐ’ で一躍脚光を浴び 映画監督を務めるなど、その多才ぶりを発揮しました。

生涯、何ものにもとらわれない自由さと発想の豊かさで 多くの人を魅了しました。東京都美術館、山梨県立文学館でお邪魔した講演会では、その屈託のない人柄に惹きつけられました。

名も無き街7, 1969
名も無き街4, 1969
女だけの時間, 1970

これから本格的に油絵に取り組もうとしていた矢先に亡くなってしまいましたが、存命であったらどんな絵を描いただろうと今でも想像します。絶筆となったリトグラフ作品は 何故か作家自身の顔をしたバレリーナが踊っている場面ですが、とても魅力的な作品です。

人間のすべて-1, 1997(絶作)

マルチな才能故か、(画壇と呼ばれる)美術界から正当な評価を必ずしも受けて来なかったように感じますが、美術が好きな(今風ではアート好きな)多くの人たちから愛された作家だと思います。

今回は1960年代前半に制作されたドライポイント作品を中心に紹介します。

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