美術展巡り34　アルプ展  ～アーティゾン美術館～

京橋のアーティゾン美術館で ‘ゾフィー･トイバー=アルプとジャン･アルプ展’ が開催されています。

ジャン･アルプ（1886-1966）は抽象的な彫刻やレリーフ作品で知られていますが、今回はパートナーでテキスタル・デザイナーのゾフィー･トイバー=アルプ（1889-1943）との2人展として作品が紹介されました。

夫のジャン･アルプはドイツ出身で、若い頃は詩人として活動し 後に立体や平面の彫刻家として活動しています。ダダイズムやシュールリアリズムの影響を受けながらも、作風はどちらにも属さず、曲線によるデザイン的なフォルムとミニマム的な塊の質感を持った独特の個性を感じます。

ジャン・アルプ作品はいずれも落ち着いた雰囲気を有し、品位のある美しさを放っています。

妻のゾフィー･トイバー=アルプは、これまで殆ど国内で紹介されなかったことから、作品が知られていませんでした。今回、初期のテキスタルをはじめとした多くのデザイン画や、平面作品が紹介されました。直線と曲線を用いたシンプルで幾何学的なデザインには目を見張るものがあり大変驚かされました。

本展覧会を見て、ジャン･アルプが妻のゾフィー･トイバーからどれほどの刺激や影響を受け、作品に反映させていたのだろうと感心しました。最小限の直線と曲線による究極のフォルム。ともに共鳴し合って2人の作品が生み出され、また進化していったのではないかと思いました。