作家紹介27 ゴンド・アート  ~インド先住民が描くポップアート~

インド中央部に位置するマディヤ・プラデーシュ州に居住する先住民族、ゴンド族とパルダーン族によって描かれた絵画 ‘ゴンド・アート(ゴンド画)’

現在、20数名のゴンド・アーティストがインド内外で活躍しています。彼らの作品は、民族に伝承する ‘森に神が宿る’ という神話や民話などを通じて、森に生い茂る木々や葉っぱ、鳥や動物たち、村で生活する人々などをモチーフにしています。

Bhajju Shyam〈ゾウの頭をつけたカニ〉,2019
Dilip Shyam〈鳥たち〉,2019
Dilip Shyam〈大地の母〉,2019
Dilip Shyam〈木と牛〉,2024
Durga Bai〈大地の母〉,2019
Durgesh Maravi〈トラの木登り〉,2019
Durgesh Maravi〈卵を守る鳥〉,2016
Dwarka Paraste〈ゾウ〉,2021
Dwarka Paraste〈空想〉,2022
Dwarka Paraste〈木とゾウ〉,2022
Dwarka Paraste〈木と鳥〉,2021

デフォルメされた動植物のフォルム、明瞭な輪郭線や連続したパターンによる文様、原色に近い色使い。民族画でありながら、ポップアートのように色鮮やかでモダンな印象です。

Gangaram Vyam〈水の女神〉,2016
Mayank Shyam〈世界を支える神〉,2017
Rajenda Shyam〈家族〉,2020
Ram Singh Urveti〈木と鳥〉,2018
Shravan Paraste〈飛ぶ魚〉,2019
Sunil Durve〈水がめを運ぶ女〉,2015
Tamshiram Paraste〈牛〉,2018

ゴンド画の代表作家3名が手掛けた絵本「夜の木」が タムラ堂から出版されており、既に何刷も版を重ねるほどの人気です。

「夜の木」(タムラ堂)
「夜の木」,〈蛇と大地〉

この絵本、印刷も製本もすべて手作り。1枚1枚 手漉き紙にシルクスクリーンで刷られており、本物の版画作品集でもあります。そのため、ページをめくる毎に紙面からインクの匂いが漂い、紙の表面に浮かぶインクの手ざわりを感じることもできます。版(刷)毎に表紙の絵が変わるのも特徴です。

「世界のはじまり」(タムラ堂)
「世界のはじまり」,〈そして 大気が〉

「夜の木」や「世界のはじまり」など、身近な絵本からゴンド・アートを体験してみてはいかがでしょうか。

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