作家紹介21 ジャン・フォートリエ ~フランス抽象絵画の先駆け~

フランス出身、1898年生まれの抽象作家 ジャン・フォートリエ

アメリカでは戦後、ポロックやデ・クーニングなどによって抽象表現主義が盛んになりましたが、同時期 ヨーロッパではジャン・フォートリエやジャン・デュビュッフェなどフランス人作家がアンフォルメル(不定形な芸術表現)運動の礎を築きました。

フォートリエは二度の世界大戦から受けた体験を基に ‘人質シリーズ’ を制作し、これが彼の代表作となりました。

人質の頭部,1944 国立国際美術館蔵
悲劇的な頭部,1946 フランス国立近代美術館
無題,1956 横浜美術館蔵

彼の絵画の特徴は重厚なマチエールで、幾重にも塗り重ねた絵の具が立体的に浮かび上がって見えます。発色の良い大胆な色使いと、時に太い輪郭線を用いて描かれた作品は、決して大きいとはいえないものの、シャープで洗練された印象が強く、惹きつけられます。

私は、品川の原美術館(2021年閉館)で常設展示されていたフォートリエの小品 ‘干渉,1963’ が好きで、来館するたびに会えるのを楽しみにしていました。

干渉,1963 原美術館蔵

今回は、彼の国内コレクション作品を中心に紹介させていただきます。

森,1943 パリ市立近代美術館蔵
旋回する線,1963 アーティゾン美術館蔵
草,1963 個人蔵
黒の青,1959 個人蔵
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