東京都 初台出身1977年生まれの、冒険家で写真家の石川直樹
2019年に東京オペラシティアートギャラリーで開催された ‘石川直樹展「この星の光の地図を写す」’ を見て以来、彼の数々の冒険を記した書籍を拝読し すっかりファンになりました。
石川直樹氏は世界を旅する冒険家であり、22歳で北極点から南極点まで自転車など人力で縦断、23歳で7大陸最高峰の登頂を達成しました。アラスカやヒマラヤ山脈、南米パタゴニア、ミクロネシア、マオリ原生林などの他、日本の各地方や東京都心など、世界の極地から身近な場所に至るまで、訪れたところを写真に収め文章に残しています。
私が石川氏の写真作品から感じるのは、単に目的地や自然の風景を映し出しているだけではなく、旅の工程やその地域で暮らす住民など 現地や人々の原風景を表現しているように思います。
石川氏が芸術大学で美術の学位を取得するなど 民俗学や芸術に深い造詣があるように、写真作品や多くの書籍からは、壮大な自然のみならず人間に対する強い好奇心のようなものが伝わってきます。
特に、北極から南極への旅の冒険を記録した図書 ‘この地球を受け継ぐ者へ「地球縦断プロジェクト Pole to Pole」’ はとても興味深く、石川氏の人間味あふれる人柄が垣間見られます。
今回は、2019年に彼の出身地 初台の東京オペラシティアートギャラリーで展示された写真作品を紹介させていただきます。
蛇足ですが、当展覧会では展示コーナーの最後に ‘石川直樹の部屋’ が設けられ、冒険遠征時に使用したテントや装備品の数々、諸々の道具やテント内で読む文庫本、現地で入手した小物などが紹介されていました。また写真は、デジタル時代の現代にあっても、重い大判や中判カメラを担ぎ フィルムを携え撮影しています。作品に柔らかさや奥行き、その場の空気感を感じさせる所以かと思います。