作家紹介10 ロイ・リキテンスタイン  ~コミックをポップアートへ~

漫画をアートにしたポップアートの代表作家 ロイ・リキテンスタイン

1923年アメリカ・ニューヨーク生まれで、同じく1960年代に活躍したアンディ・ウォーホルやトム・ウィッセルマンらと並ぶポップアーティストです。

ロイ・リキテンスタイン

リキテンスタインは1960年代初めに、恋愛ものや戦争ものの大衆漫画(コミック)を主なモチーフとし、コマをそのまま拡大して作品にしました。漫画と同様、印刷インクのドットを用いて表現しています。また、作品の大半が 赤・黄・青の3原色と黒・白のみで構成されています。

Drowning Girl,1963 ニューヨーク近代美術館蔵
泣く女,1963 横浜美術館蔵
Whaan! ,1963 ロンドン・テートギャラリー蔵
Clak! ,1964 和歌山県立近代美術館蔵
赤ワインのある静物,1972 セゾン現代美術館蔵

1960年代中頃からは、ピカソやモンドリアン、セザンヌやゴッホらの名画を基に、筆触で表現した ‘ブラッシュ・ストローク’ シリーズを開始し、1980年代まで続けています。

ブラッシュ・ストロークシリーズを制作するリキテンスタイン
Bull III, from the Bull Profile Series, 1973 Collection of the Jordan Schnitzer Family Foundation
Girl with Tear I,1977 グッゲンハイム美術館蔵
Mural with Blue Brushstroke,1986 AXA Center,New York City

商業的な大衆文化を題材にしている点はアンディ・ウォーホルと似ていますが、リキテンスタインはポップアートに分類されながらも、個々の作品自体の密度が濃く完成度が一層高いように感じます。また、個人的にはコミックを題材にしながらも、ジャスパー・ジョーンズ作品と同様に孤高で哲学的な感覚をおぼえます。

1995年、都内で現代美術館の名を初めて冠した ‘東京都現代美術館(MOT)’ が開館するにあたり、コレクションの目玉として リキテンスタインの代表作 ‘ヘアリボンの少女(1965)’ を約6億円で購入し、大きな話題になりました。

ヘアリボンの少女,1965 東京都現代美術館蔵

MOTのオープン以来29年が経ちますが、今でも常設展示室では ‘へアリボンの少女’ が迎えてくれます。

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