東京駅八重洲口から徒歩7~8分、京橋のアーティゾン美術館で ‘ブランクーシ 本質を象る 展’ が3月末から開催されています。アーティゾン美術館は旧ブリヂストン美術館が2020年に改装され新たに生まれ変わった美術館です。
コンスタンティン・ブランクーシは1876年ルーマニア生まれの彫刻家で、アルベルト・ジャコメッティと並んで私が最も好きな彫刻家の一人です。私の記憶するところでは、一作家としての国内での大規模な展覧会はこれまで開催されておらず、今回初めて作品の全体像が紹介されたのではないかと思います。
そんなわけで、開催が予告された昨年から、早く本展覧会を訪れたく待ちわびていました。

ブランクーシ作品の特徴は、フォルムを極限まで切り詰めた最小限の造形によるものであり、ミニマル・アートの先駆けともいえる点にあります。
素材のブロンズを光が反射するほど磨き上げたもの、同様に大理石を削り磨き上げたものなど、決して大きくない作品ながら、強い存在感を放っています。
私が特に好きな作品は ‘眠れるミューズ’ と呼ばれるシリーズで、人間の顔を究極まで単純化した シンプル極まりない作品です。 これ以上、削りようがないというところまでフォルムを単純化し、ものの本質を追求し あぶり出すかのような作品は、鋭利さと優美さを兼ね備えています。





これらの作品の前では、しばらくじっと動くことができなくなるほど吸い込まれる感覚に陥ります。
顔シリーズの他に、鳥シリーズがユニークです。‘空間の鳥’ は、鳥の姿全体像なのか、あるいは羽をデフォルメしたものなのか、いずれにしても まさしく鳥のイメージを想像させる作品には違いありません。



当日は、外国からの鑑賞者も多数訪れており、静かで落ち着いた会場内を 各々の来場者が小さな作品たちと向き合っていました。








