作家紹介4 ジャスパー・ジョーンズ  ~アメリカ現代美術の象徴~

‘アメリカ国旗’や‘標的’をモチーフにした作品が有名な1930年生まれの現代美術作家。今なお現役のアメリカ現代美術界の巨匠 ジャスパー・ジョーンズ

彼の1950年代以降の初期作品は、国旗や標的の他、数字や記号など身近なものを題材としていますが、その作風は独特のマチエールとともに重厚な雰囲気を宿しています。

Three Flags,1958 ホイットニー美術館蔵  
Target,1974 セゾン現代美術館蔵

ジャスパー・ジョーンズといえば、同時代にともに活躍したロバート・ラウシェンバーグが思い浮かびます。いずれの作家とも戦後の抽象表現主義からポップアート全盛の時代をともに駆け抜け、一時代を築いた両雄です。かれらの主義は ‘ネオ・ダダ ’とも呼ばれています。

1980年代になると、人間の輪郭(影)とともに季節の移ろいを表現した‘The Seasons(四季)’が発表されました。         また、‘Usuyuki(薄雪)’や‘Between the Clock and the Bed(時計とベッドの間)’といった複数の線と多彩な色彩による陰影を施した幾何学的な作品も同時代のものです。これらは、私が最も好きなシリーズです。

Spring,1986 Collection Robert abd Jane Meyerhoff, Phoenix
Summer,1985 Collection Phillip Johnson
Fall,1986 Collection the artist
Winter,1986 Collection Mr. and Mrs. Asher B. Edelman and Mildred Ash
Usuyuki,1982 セゾン現代美術館蔵

作家 ジャスパー・ジョーンズについて思うことは、初期のダイナミックでポップアート的(ネオ・ダダ的)な作品から、晩年の抽象かつ具象的な心象風作品に至るまで、一貫して高い精神性を有し哲学的であると感じるところです。

1997年、東京都現代美術館(MOT) 開館2周年記念として、満を持してジャスパー・ジョーンズ展が大規模に開催されました。東西線 木場駅と美術館との間を、彼の作品デザインが施されたシャトルバスが送迎してくれたことは、MOTにおいて最初で最後のできごとだったと思います。

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