どんな色にも属さない独特の深い青色 ‘インターナショナル クラインブルー’を携え、短い活動期間でありながら印象的な作品を世に出した1928年生まれのフランス人作家 イヴ・クライン
私がサム・フランシスと並んで、若くして感銘を受けた現代美術作家の一人です。彼の作品もまた、詩人の大岡信氏の著作「抽象絵画への招待」で紹介されています。

画面一面をモノクロームの青色で覆った‘海綿レリ-フ’、女性の人体を青色の顔料でスプレー噴射し、その影をキャンパスに転写した‘人体測定’と呼ばれる作品などが特に好みで、パフォーマンスと合わせたこれらの作品群は深い青色とともに鑑賞者の奥底へ深く入り込み、心を揺さぶるものがあります。



彼の国内での大規模な展覧会は1986年に池袋の西武美術館で開催され、学生であった私は運よくその作品を目にすることができました。今でも当時の会場の光景が目に浮かんできます。
以降、彼の作品が国内で紹介されることは少なくなりましたが、2022年に金沢21世紀美術館で37年ぶりに彼を中心とした作品が紹介されました。
現代美術を嗜好する多くの人たちが、あらためて再発見してほしい作家の一人です。