作家紹介1 サム・フランシス ~抽象絵画への誘い~


抽象表現主義の代表的な作家 サム・フランシス 
最も好きな美術作家の一人で、抽象絵画をはじめとする現代美術へ導いてくれた作家です。

サム・フランシスは1923年アメリカ生まれで、戦後の美術界で潮流となった抽象表現主義やアンフォルメルといったジャンルに汲みします。

彼の絵画の特徴は、色彩豊かな独特のマチエ-ルと大きな余白。私は学生時代、詩人の大岡信著作「抽象絵画への招待(岩波書店1985年)」に紹介されたサム・フランシスの口絵に目を奪われました。

White Line,1959 出光美術館蔵
Deep black,1954 出光美術館蔵

特に初期作品が好みですが、これら初期作品の多くは東京の出光美術館に出光コレクションとして収蔵されています。

作品をはじめて生で鑑賞したのは1980年代の半ば。以降、現在に至るまで、出光美術館、小川美術館(彌生画廊新館)、草月美術館、世田谷美術館、東京都現代美術館などで開催された大規模展覧会の他、かつてのセゾン美術館(旧西武美術館)やセゾン現代美術館(旧軽井沢高輪美術館)など、多くの場所で目にしてきました。昨今では2023年から1年間、東京都現代美術館で大作が展示されました。

東京都現代美術館 2023年
東京都現代美術館 2023年


多彩な色彩、時にはモノクローム(単色)を用い、余白と融合した作品から醸し出される余韻は、動的で大胆なタッチでありながら、深い静寂や精神性を感じさせるものです。

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